光に透かして見てみたいものが自然界にいくつかあります。
例えば、鉱物や岩石がそうです。

一年ほど前に、富山市の博物館で展示していただいた、『鉱物をモチーフにしたキャンドル』は、キャンドルの制作方法としてはいくつかのおなじみの技法を用いていますが、取り組んでいて「これは長い長い時を経て生まれる鉱物のでき方とちょっと似ているのではないか?」と感じ、制作過程もとても興味深かったので、いつか作品として表せないだろうかと考えていました。

鉱物が地中で静かに熱く成長していく様を、ロウを溶かして固める作業をくりかえし順序を辿っていったら、ロウで鉱物の姿をとらえる、ロウで鉱物のスケッチを描くことができるかもしれないと考えたのです。

いつか・・・と思っていましたが、案外早くその制作に取り組むことになりました。

そのきっかけになったのが、4月の田鎖先生のミツロウ画教室で数々の技法に触れた経験でした。
自由でスピーディで偶然も楽しむ。
このミツロウ画教室で体験した3つのことは、ここ最近のわたしのキャンドル作品では比較的排除されてきた要素です。
この感覚を取り入れたなら、「石のスケッチ」が描けるかもしれないと思いました。

結果、作品は途中まではどんな表情が現われるかわからないものとなりました。
それは、岩石の中にどんな鉱物がどれだけ内包されているかは割って中を開けてみなければわからない、そういう偶然に生まれてくるものを受け入れるような工程をくりかえして制作した、一つ一つが異なる作品です。

新作『石のなりたち』は6月21日(火)より始まるトモスさん主催の【 キャンドルクラフトコンテスト 2016 】に出品しております。
是非、火を灯してご覧ください。

石のなりたち 石のなりたち(点灯)